消費者問題学習会「知っていますか?適格消費者団体にできること」を開催しました

講師:増田朋記弁護士(適格消費者団体 京都消費者契約ネットワーク事務局長)


 7月8日当団体が目指す適格消費者団体についてを詳しくお話を聞くため、京都消費者契約ネットワーク(KCCN)から増田朋記先生を講師に招き、第8回総会を記念した講演会を開催しました。消費者の皆さんに消費者問題を身近に知ってもらい、「適格消費者団体」や消費者団体訴訟制度について学ぶ機会として企画しました。久々の集合形式の講演会となり、会場のコープふれあいセンター六条の集会室には35人の参加者が集まり増田先生のお話に熱心にに耳を傾けました。

適格消費者団体の制度は2007年6月にスタートしましたが、KCCNは同年12月に全国4番目に認定を受けた団体です。これまでに全国の団体で最も多い14の差止請求訴訟を提起しており、報道では「最も戦闘的 」な団体と評されています。これまでの取組みの内容と活動の意義について増田先生のお話を以下にご紹介します。

  • 団体訴訟制度の説明:私たち消費者は事業者(企業)が設定したルール(規約や約款など)に従わなければならない、そのルールがおかしいと思っても文句を言えない、それを消費者に代わって正していくのが適格消費者団体です。
  • 取り扱った事案の紹介:KCCNが事業者に差止請求をした事案のうち、携帯電話通信契約の解約料(いわゆる2年しばりの問題)、冠婚葬祭互助会(セレマ)の解約料、健康食品チラシ広告(クロレラ)、健康食品等の定期購入などの事案の紹介がありました。
  • 取組みの成果と意義:携帯電話通信契約の解約料の事案については最終的にKCCNが敗訴したものの、その後総務省が2年しばりを規制することにつながりました。冠婚葬祭互助会の事案ではKCCNが勝訴し、その影響は全国に波及しました。定期購入の事案では、モグラたたきのように叩いても叩いても悪質業者が出現しますが、KCCNの徹底した対応によって、悪質業者はKCCNから差止請求書が届くとすぐに広告を改善するほどKCCNが怖い存在になっています。KCCNでは、悪質定期購入業者が差止請求に応じなければ1か月以内に裁判所に提訴しています。
  • 活動において大切にしていること:「これはおかしいんじゃないか?」という思いを大事にしています。おかしいと思ったことには躊躇しないで、これが改善されなければダメだという答えを突き詰めたうえで事業者に請求をします。だから中途半端な和解はありえないのです。この悪質商法がなくなるまでやりつづけるという強い思があります。

講演のあと、なら消費者ねっとの事業者への申入れ活動の報告を検討委員長である竹内大敬弁護士が行いました。 最近申入れを行った中途解約を認めない整体院の事例について詳しく説明しました。 

最後の質疑の時間では、被害情報の発掘の方法や、運営体制についての質問、悪質事業者の詐欺的な勧誘から身を守るには、など様々な話題が次々と出され、時間いっぱいまで活発に意見交換が行われました。制度に関する知識だけでなく、適格消費者団体に関わる者として忘れてはいけない心構えや理念についても学ぶことができ、これから適格消費者団体として活動していく私たちにとって大変有意義な学習会となりました。


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